「小野寺 亮太」

「はい」

凛とした声でそう返事した亮太くんは1歩、前に踏み出して、卒業証書を受け取り次の人と一緒に礼をした。

亮太くんは卒業証書を持ち直して、右を向き歩いてからまた止まって、客殿のほうに一礼した。

たったそれだけでもあたしは目に涙が溜まった。

ねぇ、亮太くん。

卒業証書なんて受け取らないでよ。

嫌でも、認めたくなくても、亮太くんが卒業するっていう現実が突きつけられるから。

それから着々と卒業証書がほかの卒業生にも渡されて、式辞などをお偉いさんが話してから、送辞。

在校生の総代で研が卒業生の前に行って、送辞を読みだした。

研が後半になって泣き声になって、その声を聞いたらあたしの涙腺も崩壊した。

みんなも泣いてる。