お箸を1膳そっと差し出すと、

香澄はありがとう、

と言ってふんわり微笑んだ。


2人で1つの皿をつつくなんて、

何年振りだろう。


付き合いたての頃を思い出して、

心が甘酸っぱい記憶で

いっぱいになる。


「ねぇ、亨くん」