椅子1つ分の距離が、

もどかしい。


その僅かな空間が、

きっと今の俺たちの関係を

表しているのかもしれない。


そう思うと少し心が沈んだ。


この距離をどうにか

縮めることが出来ないだろうか。


「阿久津さん、飯島さん。

 作りたてなんで、

 ぜひこれ食べてください」


さっき俺にたこ焼きをくれた後輩が、

今度は焼きそばを持って、

俺たちの間の席に置いてくれた。


大きな紙皿に

山盛りになっているそれは、

なぜか1つだけ。


そこに割り箸が2つ、

ちょこんと添えられていた。