そんな俺の焦りなど、

無用だったようだ。


俺のつれない素振りなど

気にしていないようで、

ふわりと微笑みを見せながら

言葉を続けた。


「亨くん、社会人になって

 もっと魅力的になったね。

 学生の時の亨くんも

 素敵だったけれどね。

 きっと……会社でも

 ててるんじゃないかな?」


魅力的―――


香澄から振りかけられた

魔法の言葉に、

俺はすっかり心を奪われていた。


ぼうっと香澄を見つめたまま

固まっている俺に、

香澄が柔らかく呼びかける。