ぬくもりをもう一度

「卒業、以来だね」


あの時と変わらない、

香澄のすうっと澄んだ声に、

俺の胸がにわかに音をたて始める。


再会して、改めて感じた。


やっぱり俺には

香澄しかいないんだ、と。


どんなに社内の女に誘われても、

全く心をときめかせる事などない。


でもひとつ席を置いた向こうに

座っている香澄は、

いとも簡単に

俺の心をキラキラと輝かせてしまう。


高鳴る鼓動を悟られないように、

冷静を装って軽く

「あぁ」と相槌を打つと、

香澄は言葉を続ける。