ぬくもりをもう一度

“付き合っていた”

のは知っているけれど、

“自然消滅した”

ことはさすがの郁哉でも知らない。


郁哉にとってみたら

親切そのものでしかないのだけれど、

今の俺は困惑せずにはいられない。


それまで郁哉が座っていた

空席を挟んで座る俺たち。


その空間が、

今の俺たちの関係を表しているようで

もどかしい。


とりあえず、

このまま黙っているわけにも

いかない。


でも、香澄にどうやって

話しかければ自然なのだろうか。


そう思っていた時だった。


口をつぐんだままの俺に、

香澄の方から話を切り出したのだ。