ぬくもりをもう一度

「別に、俺は郁哉目当てで

 来たわけじゃないし」


「そうかもしんないっすけど。

 阿久津さん、とりあえずは

 ここでゆっくりしてってください」


ニカッと笑うと、

後輩は出店へと戻っていった。


それにしても、

中に入っている蛸が

小さすぎではないだろうか。


蛸が入っていないのでは、

と思ってしまいそうなほど、

名ばかりの蛸が

ちょこんと中に忍ばせてある。


まぁ、学祭の出し物だからこそ、

そんなところも許されるのだろう。


DJブースの音楽が、

ロックからバラードに切り替わる。