ぬくもりをもう一度

「この時はね、

 阿久津くん風邪引いてたの。

 だから字もちょっと弱々しくって、

 辛そうなのがよく分かるのよ」


「……」


「それでこの時が、

 仕事が上手くいってる時の。

 字もすごく立派で堂々としてて、

 阿久津くんの自信が……」


「やめてくれ!」


たまらず大声を上げた俺は、

感情のままに野々原の手から

ポストイットをもぎ取ると、

その場に散らばったそれらを

手で払いのけた。


ドクドクと大きな音を立てる鼓動が、

俺を一層怒りの頂点へと

いざなっていく。


「いい加減にしろよ、野々原!

 お前がやってることは、

 犯罪行為と同じことなんだよ!」