それから守るように、

俺は香澄の肩へそうっと触れた。

ほんの少しだけ視線をくれた香澄は、

そのまま川尻をまっすぐ見つめて

首を横に振った。


「ごめんなさい。

 私の気持ちはもう、智くん、

 あなたにはないの」


「じゃあ、この男の

 言う通りだとでも言うのか」


怒号にも似た声を上げて言う

その言葉に、

香澄は必死に川尻へと

視線を向けながら大きくこくんと

頷いた。