ぬくもりをもう一度

「なぁ、香澄」


「ん?」


「俺たち、もう一度……」


その時だった。


突然、俺の後ろの方からガタンと

大きな音が聞こえたかと思うと、

俺たちに割って入るように

1人の人影が現れた。


「お楽しみ中、ごめんなさい」


「……野々原!」


俺より先に退社したはずの野々原が、

いつもにも増して穏やかに

ふわりと微笑んでそこに立っている。


どうして―――


なぜ、野々原が

この場所にいるのだろうか。