ぬくもりをもう一度

料理が俺たちの前に運ばれてくる。


手をつけたくないほど

芸術的に盛り付けられた料理に、

思わず溜め息が漏れる。


それは、香澄も同じようだ。


「綺麗過ぎて、

 食べちゃうのがもったいないね」


トロンとした目で

料理を見つめるその姿が、

俺にとってはそれ以上に美しく

宝石のように感じる。


―――今日の俺は、

どうかしているみたいだ。


好きでたまらない相手とはいえ、

香澄にはもう婚約者がいる。


それなのに俺は、

このまま香澄と一晩を共にしたいという

欲望で満たされ始めている。


どうにかその気持ちを

落ち着かせなくては。