手を絡ませたまま、

俺たちはとあるホテルの中へと

入っていった。


一瞬、香澄の歩みが

戸惑いを見せたように感じたけれど、

視線を合わせると

ふわりと優しく微笑んでくれた。


きっと、周りからは

俺たちはカップルそのものに

見えるだろう。


「ここの上に、レストランがあるんだ。

 きっと香澄も気に入ってくれると思うよ」


表情を崩さずに言う俺に、

香澄はこくんと小さく頷いた。


「どんなお店か、すごく楽しみだな」


「じゃあ、上に行こうか」


うん、と小さくこたえた香澄の声に

合わせるように、

俺たちはエレベータへと乗り込んだ。


きっと、

いや、絶対、香澄は

そこの店を気に入ってくれるに違いない。