あまりに突然の、

それも一方的な誘いだったはずなのに、

香澄はそんなことを

気にしていないようで、

にっこり笑っている。


今日だけ……今だけ、

香澄は俺のものでいて欲しい。


「ごめんね、遅くなっちゃって。

 待たせちゃった、よね」


ちょっとだけ舌を出しながら言う香澄に、

俺は首をゆっくり横へ振った。


「そんなことないよ。

 俺も今、来たところだから」


本当はそんなこと、ないのに。


香澄の前ではかっこいい男の姿でいたい、

ただそれだけだ。