「亨くん……!」


階段の下の方から、

愛らしい声が響いてくる。


その声に顔が綻びそうになるのを

ぐっとこらえて、

あくまでも冷静な表情をして

その声の方へと顔を向ける。


香澄が、来てくれた。


彼女をそのまま表したような、

ふわふわのロングワンピースを着た

香澄が、

この俺に屈託のない笑顔を

見せて近付いてくる。


それだけで俺の胸は

張り裂けそうなほどに嬉しかった。