これでようやく窮屈な世界から

身も心も解放される。


さあ、これから香澄と

どこで食事をしようか。


この間は学園祭の後だったから、

学生の時のノリで

カラオケに行ってしまったけれど、

今日はさすがにそんな気分には

なれない。


むしろ、社会人としての俺を

香澄に見て欲しいから、

ムードのある大人な雰囲気のお店で

時間を共にしたい。


ケータイを手にすると、

グルメガイドのページを開く。


この辺りで、こじゃれた店が

あるといいのだけれど。


九段下というビジネス街では、

俺の希望に沿う店は

そうそう見つからないのかもしれない。