そんな気持ちに気付いたって、

もうどうしようもないのに。


香澄にはすでに

決まった人がいるのだから。


電話口に乗らない程度にくすりと笑うと、

俺はいつもの口調で話し始める。


「その食事、今日でもいいか」


「き……今日……?」


向こう側で目を丸くして聞く

香澄の姿が浮かび上がる。


それはそうだろうな。


今、食事をしようとはいったけれど、

まさかその日になんて

さすがの香澄も思わなかったのだろう。


でも俺にとっては自然な流れだった。