「……じゃあ、楽になろうかな」

「どうぞ」


栞奈は小さく口元を緩めると、背伸びをして俺の耳元に唇を寄せた。

……そして、小さな声で囁いた。



「……好きだから」



……ドストレート。

お前の方が心臓に悪いっつーの……。


「それ以外に理由なんて……ないから」


……本当にサラッと可愛いこと言ってくれるよな。


「……栞奈」

「ん?………ちょっ……!!」


振り向いた栞奈にそっと触れるだけのキスをした。


「こ、ここ外だよ!」

「……栞奈が悪い」

「何で!」

「帰るか」

「え!?」


パニくってる栞奈の手を引いて歩き出そうとした……その時。


「ちょっ……引っ張……転ぶ……!」

「え?………うおっ!」


急に引っ張られたからか、栞奈がバランスを崩し………


……後ろから抱きついてきた。



「……ここ、外ですけど」

「……知ってます」

「よく転ぶよな、お前」

「……大和が引っ張るからだよ。
もう帰ろ?
暗くなってきちゃった」

「そうだな。帰るか」


手を差し出せば、栞奈は小さな手でギュッと握る。


俺が半年前に手に入れた……幸せ。