「……しょうがないよ。
栞奈には大和の気持ちが分からなくても。
だって、栞奈は選手じゃないんだから」

「…………………」

「……でも、選手じゃなくて……マネージャーとして大和のことをずっと見てきた栞奈だからこそ何かやってあげられることがあるんじゃないの?」


あたしだからこそ……?


「俺もスランプになったことがあるから分かるけど……。
今一人にしてもいいことはないと思うよ」

「え……?」

「大和のことだから、無理な練習を続けていつか体を壊すぞ」

「それは………」


……何となく感じてた。

でも、それを止めることは誰にもできなくて……


「今だからこそ誰かの支えが必要なんじゃないか?
辛くて苦しい……今だからこそ。
……俺はそうやって乗り越えたけどね」


……そう言ってハル君はキッチンで洗い物をしている七海さんの方を見た。


ハル君は七海さんに支えられてたんだ……。


「栞奈には栞奈にしかできないことがあるはずだよ」


ハル君はそう言ってあたしの頭をポン、ポンと優しく撫でた。


あたしにしかできないこと……。


「……うん。
ありがとう……ハル君」


……ハル君は……やっぱりあたしのお兄ちゃんだ。


血の繋がりとかそういうのは関係なく……あたしのことをちゃんと考えてくれる、いいお兄ちゃん。


……本当にありがとう、ハル君。