「小学生の時に二人で夢見たんだろ?
俺の試合を見て。
あのインハイの舞台に行きたいって……。
俺は覚えてるよ。
試合の後に二人が嬉しそうに俺にそう言ってくれて……俺も嬉しかったんだから」


小学生の時……一緒に行こうって約束した。

去年も……連れていくって言ってくれた。

そして今年も………約束した。


「だったら、栞奈がいなきゃダメじゃん。
栞奈が大和のそばで……一番そばで応援してあげなかったら、大和の夢は叶ったことにはならない」

「え………」

「大和は自分だけがインハイに行きたいわけじゃない。
栞奈と二人で行かなきゃ……大和にとっては意味がないんだよ」


……小学生の頃、小さな小指を絡めた。

約束だよって言った。


一番そばで応援してるからって……言った。


「誰でもいいなんて言うな。
部員にとって……大和にとって、栞奈は誰にも代わることのできない存在なんだから」

「っ………ハル君っ……」


泣くつもりなんてなかったのに……なぜか涙が溢れてきた。


……本当は嫌だったんだ。

誰かがあたしの代わりにみんなのところにいるなんて……。

そんなこと……考えたくなかった。