「あそこにいるのは……別にあたしじゃなくてもいいって……気付いた」


悔しいけど……それが事実。


……ハル君はじっとあたしの目を見ると……静かに口を開いた。


「じゃあ……辞めれば?」

「え……?」

「栞奈がそう思うんだったら一回辞めてみればいい。
もし本当にマネージャーが誰でもいいなら、部員はすぐに他のマネージャーを探すだろうな」


他の……マネージャー……。


「……でも、俺はそうは思わない」

「ハル君………?」

「きっと栞奈が辞めても、すぐに連れ戻されるよ。
だって、部員が必要としてるのは栞奈だから。
マネージャーとして……そばで応援してほしいのは栞奈しかいないから」


あたししか……?


ハル君はあたしを見て優しく微笑んだ。


「大和だって……そう思ってるよ」

「……………」

「大和が何のためにインハイに行きたがってるのか……。
まぁ、自分の夢だからっていうのもあるんだろうけど……一番は栞奈のためなんじゃないか?」

「あたしのため……?」


ハル君は笑顔で大きく頷いた。