「あ、そうだ!
式が終わったら俺とデートしません?」

「……え?」

「栞奈さんだったら大歓迎っすよ。
この辺だったらいいところいっぱい知ってるし」

「いや……あの……」

「ここで出会えたもの何かの縁だし。
ね?どうっすか?」

「あたしは………」

「こんなチワワみたいな可愛い人、他にいないっすよ。
俺が出会った中で一番」


えぇ……何この子……。


確かに見た目はちょっとチャラいなとか思ってたけど……まさか性格まで……。


「だから、あたしは……」

「栞奈」


いつもの……大好きな声が後ろから聞こえた。

あたしが振り返る間もなく、腕が引っ張られて温かい胸に引き寄せられた。


「大和……?」

「何やってんだよ……お前」

「えっと……迷子……だった」


そうだよ。

最初は迷子だったんだよ。


大和はあたしの予想通りに呆れた顔でため息をついた。


「……で?アイツは?」


アイツ?

大和の視線の先には海里君。


「七海さんの弟。海里君」

「弟?
こんなナンパ野郎が?」

「ちょっと。
その辺のナンパと一緒にするなよ。
俺のは純粋なお誘いだ」

「それをナンパっていうんだろうが」


はぁ……とため息をつく大和。


「ってか、アンタが高瀬大和さん?」

「……そうだけど?」


海里君は何か面白いものでも見つけたように口元を緩ませた。


「また会えたらいいっすね、二人とも」


海里君はそう言ってあたし達に背を向けて歩き出していった。


「……二度と会うか、バカ」


大和はなぜかイラついてるみたいだった。


この二人がいつか戦う時が来るといいな……。

そう思った、春休みの間の出来事――