「もし……さ。
本当にもしもの話な」

「うん」

「もしも……俺達が秀華にも赤羽にも勝って、勝ち抜け確実になったとしても……東第一に負けたら、俺は素直に喜べないと思う」


……それぐらい、負けたくない。

ずっと夢だったインハイ出場よりも……暁弥に負けたくない気持ちの方が強い。

おかしいとは思ってるよ。

だけど……これだけは譲れないんだ。


「……いいんじゃない?
それでも」


栞奈はまっすぐ俺の目を見ながら……柔らかに微笑んだ。


「え………」

「大和が喜べないんだったら喜ばなくていいよ。
みんなが喜んでても……悔しかったら悔しがっていいよ。
だって……それが大和の本当の気持ちでしょ?」


俺の……本当の気持ち……。