「栞奈?
いんだろ?入るぞ」

「えっ……あ、ちょっと待って!」

「はぁ?
何?着替えてんの?」

「そうじゃないけどっ……」

「ならいいだろ。
入るぞ」

「あっ……ちょっ、待っ……」


ガチャリ、と音がしてドアが開く。


えぇ!

えっ……どうしよう。


「栞奈?」


大和が不思議そうな顔をしながらあたしを見る。


「あ、えっと……」

「その顔……」


大和はゆっくりあたしに近づき、そっと親指であたしの瞼に触れた。


「……腫れたの」

「あぁ、昨日のか。
すげぇ泣いてたもんな」

「だって……」

「本当……チワワみたいだよな。
お前って」

「チワワって……」

「褒め言葉。
……可愛いってこと」

「っ…………!!」


あたしは赤くなった顔と腫れた目を隠すように下を向いた。