「えっ……ちょっ……高瀬先輩、正気ですか?」


花井君が目を見開き、驚きながら大和に聞く。


「正気。
何か、これ食ったら逆に良いこと起こりそうじゃね?」


そう言いながら蓮ちゃんに目配せをする大和。

蓮ちゃんは大和の意図が分かったのか、すぐに立ち上がってあたしの前まで来た。


「じゃあ、俺も食おうかな」


蓮ちゃんがそう言うと、大和はニヤリと笑いながらロッカールームにいる部員達を見回した。


「まさかお前ら……部長と副部長に食わせて、自分達はそのまま過ごそうとか思ってねぇよな?」


ゲッ……とその場にいた全員の表情が固まる。


「い、いや……だって、先輩達が勝手に食べるって言い出したんじゃないですか~……」

「じゃあ、あれだ。
部長命令ってことで」

「そ、そんな!
職権乱用っすよ~!」

「栞奈、全員分ある?」

「え?えーっと……」


あたしは持ってるチョコの数を確認する。


「うん。抹茶納豆オレンジも混ぜればあるよ」

「……岬。
それって、前大和に食べさせたヤツ?」

「そうだよ。
蓮ちゃんはこっちね」

「は!?
い、いや……俺はヨーグルトの方で間に合ってるっていうか……」

「大丈夫!
大和も一緒だから!」


この後ロッカールームは悲惨なことになったけど……でも、みんな気合いが入ったみたいだし。

結果オーライってことで。