「今まで栞奈と一緒に頑張ってきたんだろ?
もし、また夢が見つかったら二人で頑張っていくのか?」

「一緒に……か。
……そうですね。
今度の夢は……俺と栞奈が一緒に生きていくための夢かもしれないですね」


鳴瀬先輩は少し驚いたあと……すぐに柔らかく笑った。


「じゃあ……あと五、六年もしたらお前らの良い話が聞けるってことか」

「ははっ。
それまで俺が愛想尽かされなきゃいいですけどね」

「今まで十五年以上一緒にいて、今更それはないだろ。
まぁ……そうだな。
俺が先輩として一つ言いたいことは……」


鳴瀬先輩は蓮達と楽しそうにはしゃいでいる栞奈に目を向けた。

薄暗くてもよく分かる……栞奈の笑顔。


「あの笑顔だけは絶やさないでもらいたいな。
……俺らを支え続けてくれた、あの笑顔だけは」


辛い練習の後……負けて悔しかった試合の後……。

お疲れさまっていつも笑顔でタオルを手渡してくれた栞奈。


そんな栞奈の笑顔を見て、また頑張ろうって思った部員が何人いただろうか。


あの笑顔に救われて……俺達はここまでやってこれた。