兄さまにそう言われた利勝さまは、あわててかぶりを振る。



 「いや、ここでいい。すぐ帰る!」



 そして私をまっすぐ見据えると、少し高めの声で怒鳴るようにおっしゃった。



 「……姉上が!いつまで経ってもお前が遊びに来ないのは、俺のせいだと毎日のように文句を言うから!!
 ……だから、時どきでいいから、お前の顔を見せてやってくれよ。そのほうが母上も姉上も喜ぶ」



 頬を赤くして、口を尖らして。

 怒っているような、照れ臭さを隠しているような。

 そんなお顔をなさるから。


 なぜだか私も、頬が熱くなってしまう。



 「よ……よろしいのですか?」

 「ああ」



 プイッとお顔をそらせて、素っ気なく頷く。
 でもそれで充分だった。



 「あ……ありがとうございますっ!! 」



 私は両手を合わせて大喜び。


 だってこれで気兼ねなく、おふたりに会えるんだもの!!