門を出ると、少し遠ざかった利勝さまの背中が目に入る。



(―――あっ!私まだ、利勝さまにお礼とお詫びを言ってない!)



言わなくちゃ!
そして、このことはもう終わりにするんだ!



「……利勝さまぁっ!」



いきなり大声で名を呼ぶ私に、となりにいた兄さまが驚いて目を向けてくる。


それに一拍遅れて、遠く離れた利勝さまも驚きの表情で振り返った。


きっと道ゆく人達にも、見られていたことだろう。


けれど私には、遠く先をゆく利勝さましか見えてなくて。


とにかくお礼とお詫びを直接伝えたくて。



「私!どうしても利勝さまに直接お会いしてお伝えしたかったんです!
あのとき助けてくれて、私、本当にうれしかったです!

それなのに、そのせいで利勝さまが罰を受けることになってしまって……!
本当に申し訳ありませんでした!! 」



叫ぶ私を、利勝さまは驚いたままの表情だったけど、

ずっと目をそらさずに、見ていてくれた。