この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜




 「……母さま!申し訳ありませんでした!! ゆきが……ゆきが間違っておりました……!!」



 自分の過ちにやっと気づいて、母さまの目の前で居住まいを正すと、頭を下げて布団に擦りつけるほど平伏する。

 それでも頭に降りかかる母さまの声は、変わらず厳しいものだった。



 「亡骸を目の当たりにして、情けなくも気を失ったお前を、弥平太さんが背負って連れ帰ってくださったのです。

 そして今また、弁天山でご自害された皆さまを憐れに思い、身の危険を承知で、おさきさんと弥平太さんは村の方がたの協力を得て、八十治さんや雄治どののご遺体を菩提寺まで運んでくださったのですよ。

 それなのにお前は……!あまりにも短慮すぎやしまいか!?」



 戦に敗れた兵達の遺骸は、けして埋葬してはならぬと、西軍から各村にお触れが出されておりました。

 見つかればもちろん、厳しく罰せられます。


 それを覚悟でおさきさん達は、夜陰に紛れて兄さま達のご遺体を運び、菩提寺である妙国寺のご住職と相談して、古井戸に葬ってくれたそうです。


 言われて顔をあげる。


 涙でくぐもった視界の中で、おさきさんや弥平太さん、そしてまつを順次に見つめると、皆それぞれに頷いてくれる。


 ………みんなの温かさが、伝わってくる。


 このつらい情況のなか、皆で力を合わせて、支え合おうとしてくれる。



 (………ああ。どうして私は)



 まわりにこんな温かい人達がいるのに、どうして深い孤独を感じていたのだろう。


 私はひとりじゃない。


 私を助けてくれる人達が、そばにいて手を差しのべてくれる。


 たとえそれが、利勝さまの手でなくても。
 その優しい手は、私の心を励まし、支えてくれる。



 「……ありがとうございます……!」



 涙が溢れてくる。

 けれど、さっきまでの悲しみの涙じゃないの。

 これは 感謝の涙。


 その気持ちを表すように、深く深く、頭を下げた。