今でも、はっきりと覚えてる。



利勝さまのお姿。



夕日に照らされたそのお顔は、少し怒っているようにも見えた。




………それが 地顔なのかもしれない。




丸顔で、太くキリリとした眉。両の(まなこ)は力強い。
口はほとんど真一文字にきつく結ばれていて。


面長で、目尻が少し下がって人懐っこいお顔をされている兄さまとは、雰囲気が全然違う。



兄さまはいつも柔らかく笑って下さるけれど、私は利勝さまの笑顔を見たことがないし、あの顔からはとても想像がつかない。


けれど歩く後ろ姿は、兄さまとよく似ていて。
ずっと見つめていたいと思える背中だった。



もう一度、会いたい。



会って、私の言葉で、ちゃんとお礼を言いたい。