この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜

 


「なんだと………っ!?」



衝撃的な言葉に、俺だけでなく雄治も声をあげる。

その顔に一瞬だけ赤みが戻った。

雄治は俺の肩に預けていた腕を乱暴にはずすと、倒れ込むようにして、目の前を阻んでいた隊士達のあいだを掻き分ける。


そして先頭に抜き出ると、自分の身体を支えきれずに転倒した。



「雄治!!」



後に続いて、俺もあいだに分け入ると、倒れた雄治を助け起こす。

起き上がった雄治の顔は、驚愕に歪んでいた。



「……うそだ……っ!! そんな……!!」



その目から涙が溢れ、青白くなった頬を伝う。



雄治が泣いた。

雄治の涙など、初めて見た。



負傷した時だって、涙は見せなかったのに。



俺もその視線の先へと顔を向ける。



視界に映ったその光景は。




―――天まで届きそうな勢いで、濛々(もうもう)と立ちのぼる黒煙と火柱――――。




それはお城だけでなく、城下すべてを呑み尽くしていた。




なんということだ。



会津の誇り高い名城が。

俺達が通った日新館が。

生まれ育った家が。町が。




すべてが炎に包まれている……!!




(こんなこと、あっていいはずがない)




会津が……会津が、負けるなんて。

幕府とともに帝に忠誠を尽くした、我が藩が負けるなんて………!!