………ゆき。俺はどうしたらいい?
このままだと、雄治は城までもたない。
せめて命尽きる前に、お前に会わせてやることができたら、どんなにいいか。
唇を噛みしめる。
何でもいいから、すがりつきたい思いだった。
皆のあとに続き、ようやく坂をのぼりきる。
杉林が切れて松林に変わると、急に辺りが開けて視界が広がった。
先に坂をのぼり着いていた隊士達はみな南方を望み、山から見下ろす景色を見つめて、なぜか微動だにせず、その場に立ち尽くす。
負傷した和助を助けて、前を進んでいた井深と俊彦も、和助をその場に座らせると、やはり呆然と立ち尽くした。
「……おい?どうした?」
そんな仲間達に阻まれて、それより先が見えない俺は、不思議に思い声をかける。
俊彦が前を見つめたまま、低く呻いた。
「………お城が。お城が 燃えている………!!」
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