次々と消えてゆく仲間を目の当たりにして、皆の顔がつらく歪んだ。
遠くで絶え間なく聞こえる砲声や銃声以外に、ときどき近くでも鋭く銃声が響く。
きっと坂井らのように、散りぢりになって敗走する会津兵を見つけては、敵兵が銃弾を浴びせているのだろう。
俺達だって、いつ敵に見つかるかわからない。
………限界が、近いのかもしれない。
それほど俺達みなの体力と精神は、ギリギリのところまできていた。
「……ここで 腹を切ろう」
誰かが言った。
「この状況じゃ、きっと退路も敵に阻まれていることだろう。
敵に捕らえられてしまう前に、命を絶ったほうがいい」
敵の捕虜になれば、家門の恥となる。最悪の不忠不孝だ。
それは 俺達にとって、死よりも恐れていること。
「そうだよ儀三郎!今の俺達じゃ、敵と出くわしても満足に戦えない!
敵に無様な姿をさらす前に、皆 ここで腹を切ろう!」
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