そのうち、敵の正面や左翼で迎え撃っていた味方の兵が、弾丸が尽きたのか、白刃を振りかざして敵に向かってゆく姿が見えた。
銃撃を受けても勇猛果敢に立ち向かう味方兵に、敵兵も抜刀してたちまち混戦状態となる。
「我々も行くぞ!かかれえっ!!」
小隊長の突撃命令に、連続で撃ったため故障し役に立たなくなった銃を捨て、一同抜刀して両軍が入り乱れる中に突入する。
「うおおおおおっ!!」
俺も雄治も遅れまいと刀を抜いて駆け出した。
咆哮轟く両軍の激しい戦闘に加わり、目の前に対峙する敵兵に猛然と斬りかかる。
刀と刀がぶつかり合う、激しい金属音。
「くっ!」
成人の敵に対して、どちらかといえば小柄な俺は、どうしても力で押される。
(呆気なく殺られてたまるか!
この日のために、真天流で日々稽古を重ねてきたんだ!)
俺はとっさに相手の力を受けながし、態勢が崩れたところを後ろにすばやく回り込んで、背中から思いきり袈裟がけに斬りつけた。
「ぎゃあああ!」
敵の兵士は背中から大量の血を噴き出し、前のめりに倒れた。
ハアハアと息切れしながら、それを凝視する。
――――重い手応え。
初めて。初めて、人を斬った。
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