「―――っ!!」



自身の想いを指摘され、雄治はさらにうろたえて俺から目をそらす。





とうの昔にわかっていた。

ふたりは惹かれあってると。





ゆきだけじゃない。雄治、お前だって。
いつもいつも足の悪いゆきのことを気にかけていたじゃないか……!



「たとえゆきを拒んだとしても、後悔するのは貴様のほうだ!
それに俺はもうゆきと会うことはない!そんな言葉、二度と口にするな!!」



蔑んだ目で言い放ち、雄治の胸元から乱暴に手を放すと、後ろを振り返ることなく陣へと戻った。



ただただ、腹が立っていた。



雷鳴が俺の怒りを表すかのように、天で猛々に鳴り響いていた。






陣に戻ると、何事もなかったように皆の談笑の中に混じる。

俊彦が心配の目を向けてきたが、「大丈夫だ」と目で伝えて頷いておいた。



後から雄治が戻ってきたのを確認するものの、俺はけして奴に近づこうとはしなかった。






「……おい、見てみろよ。八十治のヤツ、居眠りしてやがる」


「肝がすわってんなあ。俺なんかこの状況で、とても眠ってなんかいられないよ」


「それに見ろよ、あいつ銃口に指を詰めてるぞ。雨水が入らないよう塞いでるんだ。
そんな状態で寝れるなんて、器用なやつだな!」



仲間からそんな声が聞こえてくる。



でも実は、狸寝入りをしているだけだった。

眠ったふりをしていれば、あいつの顔を見なくて済むから。





………滅多にしたことのない喧嘩だった。

まさかこの状況で、こんなことになろうとは。