隊列を組むとき以外は、俺のとなりにはいつも雄治がいた。


俺とあいつで約束した通りに。
あいつがそう ゆきに伝えた通りに。


俺もつねに草色を探した。


そして出来得る限り、その草色のそばにいるつもりだった。


いつ何時 敵と相まみえるかもしれない。


そうなった時となりにいれば、いざという時にあいつの盾となれる。



俺は暗闇の中で目を伏せた。



―――こんなこと、あいつの前で口にしたら、奴は必ず怒るだろうな。



だが……できることなら、たとえこの身を犠牲にしても。

あいつを、ゆきのもとへ帰してやりたい。



ゆきの幸せは、あいつの傍らにいる以外ありえないとわかっているから。


それはどうやっても俺には与えられないものだから。



だから。



兄として、ゆきのために。俺が出来る限りのことをしてやりたい。