………ああ。よかった。


見送りに ゆきが来ている。
継母上も。それから まつも。


まつが来てくれたから、ふたりのことは大丈夫だろう。



たとえ継母上が、ゆきとともに自害なさろうとしても、必ずまつが止めてくれるはずだ。



昼九ツ半(午後1時)頃、出陣のため城門を出て行進しながら、三人の姿を見つけて安堵の息を漏らした。



ゆきはまっすぐに、俺のふたり前を行く雄治を見つめている。



雄治も。群衆の中からゆきを見つけて、そちらへ顔を向けている。



ふたりが頷きあうのがわかった。



そしてゆきは俺を見つけると、深々と頭を下げてくる。




――――よせよ。頭なんか下げるな。




最期にお前の顔を、この目に焼きつけておきたいのに。



俺は継母上とまつを見た。
ふたりとも頭を下げ、頷いてくれる。



(まつ。継母上とゆきを頼んだぞ)



その気持ちを込めて、俺も強く頷き返した。




――――俺達 白虎士中二番隊は、これから宰相(容保)さまに付き従い、滝沢本陣へと出向く。