「……八十治さんも……?」



 一瞬 母さまの瞳に、母親の慈愛が戻る。
 その隙をついて、 母さまの足にしがみついた。



 「そうです!! 兄さまもです!! ですから、母さまもどうか踏みとどまってください!
 死ぬのはいつでもできます!まだあきらめないでください!私と一緒に、兄さまを探しに参りましょう!?」

 「……!!」



 母さまは狼狽して、その瞳を絶えず動かせる。
 私は、なおも叫んだ。



 「母さま!私は……私は、利勝さまのことを、ずっと以前からお慕いしておりました!

 今も……!胸が苦しいほど好きです!

 だから どうしても、利勝さまとの最後の約束を果たしたいのです!
 お願いです!私のわがままを、どうか許してください……っ!!」



 自分の気持ちを打ち明けた私には、もう何も残っていなかった。

 この想いをわかってもらえないのなら、上から(やいば)を振り下ろされても仕方ないと、

 そう 覚悟した とき。