この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜




 声を押し殺して、泣くだけ泣いた。


 頭の中で、「だから言っただろう」と、兄さまの声が聞こえた気がした。




 ………どれだけ泣いていたか わからない。


 泣き疲れてやっと立ち上がると、私はふらふらと門を出る。



 さき子さまがいなくてよかった。
 くら子さまが出て来なくてよかった。


 こんな姿、誰にも見られたくない。





 ………利勝さま。


 まだ身体に、利勝さまの熱が残ってる。



 『泣くな!でなきゃ決心が鈍るんだよ……!! 』



 ――――利勝さまは、もう死ぬおつもりなんだ。


 そのお覚悟が、とうに出来ているんだ。


 そしてその日のために、懸命に訓練や稽古を重ねているんだ。



 その固い決意に、私が水を差すことなどできやしないのに。





 ………私は 大ばか者だ。

 失うのが怖くて、まわりを見もせず、自分のことばかり。



 利勝さまや兄さま、母さまが、私を心配してくださっていることにも気づかずに。



 こんな私が、くら子さまやさき子さまを励ますことなどできやしないのに。





 私はいったい 何をしてたんだろう?