この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜




 なんだか 変。

 私 笑っているはずなのに。

 頬になぜか、温かいものが流れてる。



 泣き笑い。



 自分が滑稽に思える。ほんとばかみたい。



 けして知られてはいけない気持ちを知られ、好きな人に迷惑をかけて。



 「あの、これは 気にしないでくださいね!」



 あわてて腕で涙を拭ってなんとか笑う私の視界に、つらそうなお顔をした利勝さまが映る。


 利勝さまは、そんな私の姿など見たくもないというように、顔をそらして固く目を閉じた。


 その利勝さまの、怒気の込められた声。



 「……馬鹿っ!! お前ってやつは……っ!!
 なんで、想いなどないと否定してくれないんだよっ!!」



 吐き捨てるように投げられた言葉とともに、歪んだ顔をこちらに向けた利勝さまが、腕を伸ばして乱暴に私を抱き寄せる。

 苦しくて、息ができないほどの、強い力。



 「泣くな!! 頼むから……っ!! でなきゃ決心が鈍るんだよ……っ!!」



 耳元で聞こえた、絞り出すような苦しい声。



 利勝さまは突き放すように私から離れると、再び木刀と防具を担いで門を飛び出してゆかれた。





 ………今のは 何? 何が 起こったの……?





 突然のことに 訳がわからなくて。

 でも ただただ悲しくて。



 私は力なく、その場に泣き崩れた。