私を見つめて、利勝さまは一瞬、ひどく真面目なお顔をされた。
ゆっくりとまばたきをすると、それが次第に苦いお顔に変わってゆく。
そうして目をそらすと、低い声でおっしゃった。
｢……そういうの、やめてくれないか｣
｢えっ？｣
その絞り出すような低い低い声が、私には聞き取りづらくて、笑顔のまま聞き返す。
｢俺を気遣かってくれてるのはわかる。でも、この前みたいなことを、するのも言うのもやめてくれ。
そんなことをされても、俺は……お前に何も返してやれない。期待を寄せられても、困るだけなんだよ｣
――――ドキリ、と した。
笑顔が 固まった。
息が 詰まった。
どうしよう。
利勝さまに、想いを知られてしまった。
わかりきったことだ。あんなことしたんだもの。
知られて当然。
そして断られるのも、また わかりきったことだった。
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