……兄さまから 白虎隊入隊のお話を聞いたあと、何度思ったことだろう。



 悌次郎さまのように、生まれるのがあと一年遅かったならばと。



 いいえ。一年と言わずあと何年か。



 こんな時代ではなく、もっと穏やかな時代に生まれ落ちていたならば。



 そうすれば、誰もこんな哀しい思いをしなかっただろうに………。



 口にしたら、また母さまに叱られる。


 そして 兄さまにも。





 もし武士ならば。男子ならば。


 この時代こそが、自分を輝かせる舞台なのだと胸を踊らせるかもしれません。



 けれど 私にとっては。



 ……会津藩にとっては。



 徳川幕府と寄り添うように続いてきた我が藩にとって、

 この時代はつらく厳しい時代だと思えました。