それでも私にとっては、兄さまと利勝さまが同じ隊に配属されたことが、唯一喜べることだった。



 「……そうですか。白虎隊に入隊したとなれば、いつ何時出陣になるやもしれません。
 今は学べることをしっかり学び、その時が来たら主君のお役にしっかりと立ち、思う存分に力が奮えるよう精進なさい」



 母さまはしっかりとした口調で兄さまをそう励ますと、誇らしげな笑顔を見せた。



 兄さまも笑顔で喜びを表して、



 「はい!心得ました!それでは明日の支度がありますので失礼致します!」



 そう母さまに頭を下げると、兄さまは自室へと戻られました。



 「……ゆき。お前にも申しておくことがあります」



 兄さまがいなくなると、母さまは私を振り向く。
 そのお顔からは笑顔が消えていて、厳しい表情をされていた。