「誰も受け取らないとは言ってないだろ!? 姉上は図々しいんだよ!」
手拭いを乱暴に取り上げて、利勝さまは姉君を睨む。
「まあ!何てこと言うのよ、お前は!いるなら最初からすぐ受け取ればいいでしょ!? まったく、素直じゃないんだから!!」
さき子さまも負けじと睨んで文句をおっしゃる。
けれどさき子さまは、こうなるとわかっていて手を伸ばしたんだわ。
「うるさいんだよ、姉上は」
ムスッとしながらも、藍色の手拭いを懐にしまうそのお姿を見て、私は驚きつつも、嬉しさに泣きそうだった。
「と……利勝さま。藍は色落ちしますから、一度洗ってからでないと、お着物を汚してしまいます」
「わかってる!お前もひとこと多いんだよ!」
ぴしゃりと叱られて、私は肩をすくめた。
さき子さまも苦笑い。
また怒られた。でも……すごくうれしい。
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