藍色の手拭いを買った。



月に二度ばかり開かれる、郭外の市で。



足の傷はとうに癒えたのに、まつのいない淋しさに元気をなくした私を、母さまが一緒にお買い物に誘って下さったから。



ひときわ鮮やかなその藍の色に、私の目は釘づけになった。



いただいたっきりの紺色の手拭いの代わりに、
どうしてもこのきれいな藍を、利勝さまにお渡ししたくて。



正しくは、母さまに懇願して買っていただいた。





会津は藍の産地であっても、やはり純粋な藍染めは高価なもので、たとえ手拭いであってもけして安くはない。



けれど私に甘い母さまは、困ったお顔をしつつも折れてくれた。



ついでに訳を話して、井深さまからいただいた手拭いの分も買ってもらうことができた。



そのきれいな藍を手にすると、私の心はいっきに弾む。