なんだか似合わなくて、プッと笑いが漏れた。



 「と……雄治さま、変です!いつもはこんなこと、絶対おっしゃらないのに!」



 そう言うと、利勝さまはムッとした表情で、後ろの私を睨みつける。



 「変なのはお前のほうだ!なんだよ“と…”って!
 無理して雄治と呼ぶからだろ!? 言いかけて飲み込むなよな!」



 ………えっ?



 思わぬことを言われて、驚いた私は反論する。



 「だって以前、ご友人がたの前でお呼びしたとき……」

 「あんなのは気にするな!お前が呼びやすいように呼べばいいんだよ!」



 プイッと前を向きながら、そう怒ってらっしゃる。



 ………いいのですか?本当に?

 その大切な名を、私が呼んでも。



 「……利勝さま……って、お呼びしてもよろしいのですか?」

 「だから最初から、そう名乗ってるだろ!」



 素っ気ないけれど、そう答えてくれたことに、うれしさが込み上げてくる。



 ………ああ。また。

 心に温かいものが灯る。



 利勝さまだけが灯してくれる

 あたたかな……光り。