この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜




 「私には、たとえおそばにいても、あの方と添い遂げることなど決してできはしないのです!
 けれどもそれでよかった……!
 ただおそばにいて、笑顔を向けてもらえるだけで私は幸せだった。
 ゆきさまが現れるまでは……!!」



 一度、言葉を切って、まつは強く私を見据える。

 ………私?



 「ゆきさまはずるいです……!いきなり現れて、足がお悪いのを理由に、あの方の関心を私からすべて奪ってゆかれた。
 私はずっと、ゆきさまが妬ましかったんです。
 その醜い心を知られたくなくて、ゆきさまにいつも優しく接していたのです。

 私がゆきさまだったら……!
 八十治さまをあんなに煩わせたりしないのに!

 貴女さまが無茶をして外へ飛び出されるたび、八十治さまがどんなにご心配されていたか、ご存じですか!?

 私ならそんなことしない!!
 いつだってあの方のおそばにいて、力になることが出来るのに!!
 どれだけ……どれだけ そう思ったことか!!! 」