いきなり障子が開いた。 びっくりして隠れようかとしたけど、すでに遅く、そこから飛び出してきたまつと鉢合わせになり、その場で固まってしまった。 ―――まつの両目は。こんもりと盛り上がった涙で覆われていて。 見てはいけないものを見てしまった、 そんな気がした………。 まつは口元を押さえて、私の脇を通り過ぎる。 「―――まつ!」 あわてて廊下にお盆を置くと、その背中を追った。 まつの涙なんて、初めて見たから。 .