今度こそ本当に失礼することにして、玄関でさき子さまと挨拶を交わして門へと向かう。


 門の前では利勝さまが、まだ来られない雄介さまを待っていらした。


 そのお顔を紅潮させて、そわそわと落ち着かない様子だったのが、私を見るなり、目をそらしてツンとした態度に変わる。


 そんな利勝さまに淋しさを感じつつ、それでも私は声をかけた。



 「あの……よかったですね。兄上さまとご一緒に行けることになって」

 「……ああ」



 ムスッとした表情で、そう答える。



 (……私やっぱり、嫌われているんだわ)



 気持ちが萎んで悲しくなり、挨拶だけして早々に立ち去ることにした。



 「それじゃあ、私……失礼します」



 そう言って、利勝さまの前を、通り過ぎようとしたとき。