『ぱられる☆』

　「痛ったぁ……」
　見事に転び、見事に荷物を撒き散らばした。
　「んもぅっ！」
　侑香は、はまった足を強引に抜いた。
　そして、辺り一面に散らばった父の資料を見て嫌気が差す。

　叩き付けるように資料やら書類やらダンボール箱に戻していると二枚の写真が出てきた。
　一枚は、家族写真。
　もう一枚は、昔に撮った写真。その中に、幼い顔が４人……。
　笑顔でピースをしている自分と、今と変わらぬ優しい笑顔の姉、そして、幼なじみである眞一郎とその妹の理乃が写っていた。
　もう数年会っていない幼なじみにドコとなく淡い期待を心に宿していた。
　とその時。
　「ピンポ～～～ン」
　玄関のチャイムが鳴った。
　「はいは～～～い」
　侑香はタパタパと散らばった紙を踏み踏み、玄関に向かった。
　引越して間もないのに誰だろう？　そんな事を思いながら扉を開いた。