これは俺が初めて心と出会った時の話
俺は当時5歳だった
「久央理!!」
「…………何?」
「相変わらず冷めた子供だなぁ~」
父さんはちゃらちゃらした奴だ
母さんにはベタベタとあまい
こんな大人になりたくない
それが当時の俺の想いだ
「今日から俺の友達の家族が日本で暮らすことになったんだ」
「へぇー」
「心司って言ってそいつの娘が心ちゃんって名前なんだ」
心
変わった名前
心に対する印象はそれだけ
「おれ、ようちえん行くから」
「ちなみにその心ちゃんと将来結婚するんだぞ」
「だれが?」
「久央理」
「……………いってきます」
父さんのくだらない冗談がまた始まったんだ